時計は精密機械です。壊れれば時計屋で修理するしかありませんが、修理に持ち込まれる時計の中には、ひどい状態で使用されているものや、全くメンテナンスをしていないものも多く見られます。
ちょっとしたことに気を付けることによって、時計は大幅に寿命を伸ばします。耐久年数を迎える前に壊れてしまう時計を見るのは、とても悲しいものです。
ここでは、時計の寿命を伸ばすために、ご自分で出来るメンテナンスの方法をご紹介致します。
全ての時計のメンテナンスの基本と言えるのは、時計についた汗をこまめにふき取り、ホコリやゴミを丹念に取り去ることです。
ステンレスをはじめとする金属製のブレスレットの場合、汗やホコリなどが原因でベルトが壊れるというケースは意外と多いので、駒と駒の隙間やケースとリュウズの隙間に付着した汗は、柔らかいハンカチや布で拭き取り、ホコリやゴミは歯ブラシなどで軽く叩くようにして取り除くのが効果的です。
ちょっとした時計店なら、セーム皮の販売をしています。これは、プロの時計職人も使っている時計を磨くための皮布です。中性洗剤でもみ洗いすれば、セーム革の汚れはきれいに落ち、何回でも使用できます。
海水が時計に残っていると、腐食の原因になります。海水に浸かったら、必ずケースやリュウズ周り・裏蓋・ベルトまで全体を真水で洗ってから、乾いた布でよく水分を拭き取ることが大切です。この時、ベルトの駒と駒の隙間や、ケースとリュウズの間の隙間は歯ブラシなどで特に綺麗に洗い流した方がいいでしょう。
時計をはずして保管する際に、磁気製品の近くに置くのは避けて下さい。
最近の時計には、磁気を帯びにくい素材が使われていますが、テレビ・磁気ネックレス・磁気枕やハンドバックの留め金に使われている磁気のそばに一日中置くことは避けましょう。
時計を防虫剤の入っているタンスの中にしまうことは避けましょう。防虫剤の主成分であるナフタリンは、時計内部の油の変質を引き起こし、それが原因で精度に狂いが生じる恐れがあるからです。
時計の内部は、ごくわずかの空気の出入りがあることを忘れないようにしましょう。
クオーツ式(デジタル)、ムーブメント式(機械)のどちらも、長期間動かさずに放置していると故障の原因になります。どれだけ長くても3ヶ月に一度は動かして下さい。
特にムーブメント式の時計は、内部に歯車を潤滑に動かすための注油がされており、動かすことによって満遍なく油が廻っています。リューズも長い間動かさずにいると、錆びついて動かなくなる場合もありますので、たまに動かしてやるようにして下さい。
手巻き時計の場合、一日一回だいたい決まった時間にゼンマイを巻くことをおすすめします。 ゼンマイは常に一定の力を出しているわけではなく、ゼンマイをいっぱいに巻いた直後と、ほどける直前ではトルクが違っています。このトルクの違いが時計の精度に影響してくることがあります。
一般的に、手巻き時計のゼンマイが一日でのびきってしまうことはなく、一日半から二日間ほどの力が蓄えられているものですが、いつものびきる直前までゼンマイを巻かないという使い方をしていると、二日目の後半にはトルクが減った分時間の誤差が生じる可能性があります。
自動巻時計は、日中腕に巻いておけば腕の振りによってゼンマイが巻きあがる仕組みになっていますが、人によってはあまり腕を動かさない人や、仕事中は外して机の上などに置いておくという人は、手巻き時計と同様に一日一回はゼンマイを手で巻くことをお勧めします。
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